KSAPでの出会いからBAKで共創、そしてM&Aへ。エフィシエントが語る、県支援施策の活用と成長の軌跡。
株式会社エフィシエント 脇坂 健一郎
「KANAGAWA STARTUPS」がお届けするインタビュー。 神奈川県では、県経済を牽引するベンチャー企業の創出と成長に向け、起業・成長のステージに合わせて展開するベンチャー支援のかながわモデル「HATSU-SHIN KANAGAWA」に取り組んでいます。
今回は、神奈川県のベンチャー支援プログラム「かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム(KSAP)」や「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)」に採択され、県の成長促進拠点「SHINみなとみらい」も活用しながら事業を成長させ、M&AによるExitを実現した株式会社エフィシエント代表の脇坂 健一郎さんにお話を伺いました。
エフィシエントの事業内容について教えてください。
私たちは、「世の中の困りごとを『効率的(efficient)』に解決する」ことをミッションに、IoTやAIを活用した受託システム開発やプロダクト開発を行っています 。
主力プロダクトの一つが、株式会社ジェイックと共同開発したAI面接練習アプリ「steach®(スティーチ)」です 。これは「ひとりで気軽に面接練習ができて、客観的な評価がもらえる」ことを目指したアプリです 。ユーザーが回答する音声と動画をAIが解析し、「①自信、②笑顔、③ボディランゲージ、④声の大きさ、⑤話すスピード、⑥伝わりやすさ」の6つの指標で客観的に評価します 。
2022年5月のリリースから6万ダウンロードを突破し、累計65万回以上の面接練習に使われています(2025年7月時点) 。最近では法人向けに商談やプレゼン練習の機能を追加したり、株式会社ユーキャン様の「話し方講座」アプリへ技術提供を行ったりと、展開が広がっています 。
ほかにはこれまで、川崎フロンターレ様と共同で「サイン入りユニフォーム転売抑止AIエンジン」を開発し特許を取得するなど、AI技術を核に多様な課題解決に取り組んでいます 。
AI面接練習アプリ「steach®」を立ち上げたきっかけは何ですか?
私自身、もともと話すことが得意ではなく、自分の話し方を練習したいという思いから、AIが評価してくれるプロダクト(「steach®」の前身である「HANASO」)を開発したのが原点です 。
当初はビジネスとしての実装に苦戦していましたが、コロナ禍でコミュニケーションがオンライン化し、AIによる面接練習のニーズが高まると感じました 。
そんな時、神奈川県の支援プログラムへのイベント参加をきっかけに、就職支援を行う株式会社ジェイックさんとの接点を持ちました 。ジェイックさんは、コロナ禍で対面での面接練習機会が減り、独りで悩んでいる就活生を助けたいという強い想いを持っていました 。私たちのAI技術と、ジェイックさんが持つ20年来の面接対策ノウハウを掛け合わせることで、社会課題を解決できると確信し、共創がスタートしました 。
創業の経緯と、なぜ神奈川県を拠点に選んだのか教えてください。
大学卒業後、大手印刷会社やDXベンチャーでの勤務を経て、ビジネスコンテストをきっかけに2019年に創業しました 。
神奈川を選んだのは、私自身が大学まで横浜や相模原などで暮らし、現在も横浜に住んでいるという個人的なゆかりが大きいです 。
神奈川県で創業することは提供するベンチャー支援環境が非常に充実していたことも一つの魅力です。私たちは「KSAP」や「BAK」といった県のプログラムに採択され、成長促進拠点である「SHINみなとみらい」も定期的に利用してきました 。
「SHINみなとみらい」はどのような場所ですか?
「SHINみなとみらい」のような、起業家が集まって仕事ができるコミュニティがあることは、モチベーション維持の面で非常にありがたいです 。ふとした雑談から新しいアイデアが生まれることもあります 。
様々なバックグラウンドを持つ支援者が多くいるのは嬉しいですね。これから法務や知財といったバックオフィス分野の専門家に、気軽に相談できる体制がさらに充実するといいなと思います 。
神奈川県のベンチャー支援プログラムやコミュニティは、事業にどう活かされましたか?
「KSAP」は、ジェイックさんと出会う最初のきっかけを作ってくれました 。その後の「BAK」では、ジェイックさんを誘う形で共創プロジェクトとして応募し、採択されました 。
BAKは神奈川県が全面バックアップするプログラムなので信頼度が高く、横浜市内の大学や専門学校での実証実験の協力が非常に得やすかったです 。開発・実証支援金も大きな助けになりましたね 。実証実験では、学生さんから「アプリのおかげで内定を勝ち取ることができました」という声や、日本語が苦手な留学生など、これまでアプローチできていなかった層にも届いていることが確認できました 。
2023年末にジェイックグループにジョインされました。M&A後の展望についてお聞かせください。
ジェイックグループにジョインして約1年、現在はグループ全体のシナジーをどう生み出すか、すり合わせを行っている段階です 。
HR(人事部門の支援)業界は属人的な仕事が多いのですが、ジェイックも「AIを導入していかないと置いていかれる」という強い危機意識を持っています 。今後はグループ全体の事業体にAIを実装していく役割を担っていきます 。具体的には、履歴書生成AIなどを搭載した「就活AI」という新しいプロダクトを共同開発し、グループ全体で使えるソリューションを展開しています 。
これから神奈川で起業を目指す方々へメッセージをお願いします。
「スタートアップ」を名乗るなら、ゴールイメージを明確に持ってほしい。強くそう思います 。
神奈川県のような行政の支援プログラムを活用するということは、ある種代表として選ばれているという自覚を持つ必要があると思います。
社会課題の解決を掲げるのは素晴らしいことですが、それと経済成長を両立させるのは簡単ではありません 。倒産しないために何をするか、雇用を生み出すといった視点も重要です 。
「SHINみなとみらい」をはじめ、神奈川には支援の場がありますので活用しどんどん挑戦してほしいです 。私自身も、次のゴールとして50歳までに投資をする側になることを目指して、新しい挑戦を始めています 。皆さんも明確なゴールを持って、このフィールドを活用してほしいと思います。
企業情報
株式会社エフィシエント
【事業内容】
AI面接練習アプリ「steach®(スティーチ)」の開発・運営
受託システム開発、プロダクト開発・販売、システムエンジニアリングサービス
【企業サイト】
https://efficient-inc.com/