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習慣は「やる気」ではなく構造でつくる。Herazikaが挑む教育の再設計

株式会社Herazika 森山大地

「続けよう」と思っても、続かない。それは意志の弱さではなく、人間の元来の性質です。Herazikaは、この普遍的な課題に立ち向かうスタートアップです。

習慣化の難しさは、学習の場でとりわけ顕著に現れます。学習塾や資格学校では「良い授業を提供しているのに成果が安定しない」という課題が繰り返し語られていますが、背景にあるのは、授業外の”自学習”を継続させる仕組みが存在しないことです。生徒が自力で机に向かい続けることは難しく、自学習の量と質がまちまちになる。結果として成績が伸びず、生徒の早期退塾と合格率の低迷という経営課題に直結します。

 

神奈川県の支援制度である、起業直後のベンチャー企業に対する伴走支援プログラム「かながわ・スタートアップ・アクセラレーションプログラム(KSAP)、そしてベンチャー企業と大企業のオープンイノベーション促進事業「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)」を活用しながら実証を重ね、現在は小中高向け学習塾領域へと注力。本インタビューでは、代表の森山さんからその思想と成長戦略をお伺いしました。

Herazikaは、どのようなサービスですか?

小学生から社会人までの学習者に対して、学習の習慣化と集中力を補助するオンライン自習室サービスです。

目指しているのは、「やる気」に依存せずとも毎日机に向かえる状態をつくることです。基盤として学習中の様子を映し合うオンライン自習の仕組みを持っていますが、それだけでは継続は生まれないと考えています。
多くの学習者にとって、毎日コンスタントに机に向かうこと自体が最初の壁です。だからこそ、意志ではなく仕組みで「やらざるを得ない環境」をつくることに、私たちは力を注いでいます。

具体的な仕掛けのひとつが、チーム編成です。3〜5人のチームが自動で組まれ、全員が週の目標を達成して初めてスコアが上がる。一人がサボれば、チーム全体の結果に響く。この設計が「やらざるを得ない」状況を自然につくり出します。

さらに、学習中の映像は自動で記録され、終了後に親・先生・友達へ送付されます。身近な人との約束に変えることで、サボりにくい構造が生まれる。

「やる気」を引き出すのではなく、「やる気がなくても動ける環境」を設計する。それがHerazikaの核心です。

オンライン自習室「Herazika」(ヘラズィカ)

KSAPへの参加、BAKの実証ではどのような学びがありましたか?

まず起業初期に採択された「KSAP」の枠組みの中で、短期間で仮説と現実のズレを検証できました。広げすぎず、フォーカスを定めて試す。そのプロセスを通じて、次に進むべき方向がより鮮明になりました。

次に「BAK」では、実証実験の一つとして資格専門学校 TAC様との実証を行いました。
当初から意識していたのは、TAC様の経営指標に直接インパクトを与えることでした。合格率は重要な最終指標ですが、自分たちがコントロールできる変数ではありません。そこで、自学習の継続率にフォーカスし、3か月間で約9機能を改善・検証しました。

結果として、Herazika利用者と非利用者の間でプログラム継続率に4.5ptの差が生まれました。この継続率の差を売上に換算すると、+10%の効果が見込まれます。

オンライン自習室「Herazika」のLTV向上と集客の自動化

漢字検定協会様との実証では、使い始めたユーザーの課金率は47%に達し、サービス自体の価値は確認できました。ただ、サービス利用に至るまでの導線を十分に設計しきれなかったことが課題として残りました。現在注力している学習塾領域では、この課題への構造的な答えが見えてきています。

KSPやBAKの活用で、何が良かったと感じますか?

制度を単なる資金の支援としてではなく、「実証を加速させる仕組み」として活用できた点です。

通常、スタートアップと大企業の実証は優先順位が下がりがちです。しかし、「BAK」では3か月後の成果発表という明確なゴールが設定されています。そのため、双方が本気で取り組まざるを得ません。

また、どのKPIを取りに行くのか、結果をどこに横展開するのかを意識することで、実証がそのまま成長戦略の一部になります。

支援制度をゴールにするのではなく、次のステージへのステップとして設計することが重要だと感じています。

現在はどの領域に注力していますか?

現在は小中高向け学習塾領域に集中しています。新しく開発している友人招待機能やチームマッチングの仕組みが塾経営の課題に直結し、学習塾向け導入提案において、受注率は約90%に達しています。

代々木ゼミナールとの提携では、Herazikaが授業料の中に組み込まれた形での提供が決定しました。オプションではなく学習体験の一部として位置づけられたことは、サービスの本質的な価値が認められた結果だと言えます。

進学塾のSAPIX(サピックス)様との提携も進んでおり、同社が掲げる「2030年プロジェクト」——中長期の教育戦略の青写真——にHerazikaが採択されました。

実証実験を経て事業領域を絞ることで、プロダクトの価値が一段と明確になりました。

イメージ:オンライン自習室「Herazika」と資格専門学校 TACによる実証実験結果
オンライン自習室「Herazika」と資格専門学校 TACによる実証実験結果

今向き合っている課題は何ですか?

需要に対して供給体制を整えることです。

引き合いは想定以上のペースで増えており、ニーズの存在は確認できています。一方で、エクイティによる資金調達を行っている以上、スピードを上げながらプロダクトの質も担保しなければならない。今はその両立に向けた体制構築のフェーズです

イメージ:オンライン自習室 Herazika(ヘラズィカ)シード資金調達を実施
オンライン自習室「Herazika」シード資金調達を実施

最後に、起業を迷っている人へメッセージをお願いします

イメージ:株式会社Herazika 森山 大地さん
株式会社Herazika 森山 大地さん

起業を躊躇するような場面があれば、自分が主人公のドキュメンタリーを想像してみるといいと思います。

「迷った」というナレーションが入る場面で、翌日には会社を辞めて起業したというストーリーにするのか、それとも1年間悩み続けたというストーリーにするのか。どちらを選ぶかで、その後の物語は大きく変わります。よりドラマチックな選択を自ら選び取れるかどうか。それが起業においては重要だと考えています。

神奈川県発「社会課題解決型スタートアップ」の成長を支援するプログラム​
かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム(KSAP)
かながわ・スタートアップ/アクセラレーション・プログラム(KSAP)

「かながわ・スタートアップ/アクセラレーション・プログラム(KSAP)」は、社会課題の解決に取り組むスタートアップを伴走支援するプログラムです。
年間を通じて、起業初期を対象としたプログラム「KSAPシード編」と、さらなる事業成長を目指す企業を対象としたプログラム「KSAPアーリー編」の2つを実施します。

神奈川県発オープンイノベーション促進事業
BAK
BAK(バク)=ビジネスアクセラレーターかながわ

「BAK」は、県内に拠点を持つ大企業等とベンチャー企業の連携によるオープンイノベーションの創出を目的とした取組です。企業、研究機関、支援機関などが参画する協議会「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)」として、新たな連携プロジェクトの創出やコミュニティ形成を通じた共創の取組を推進しています。

企業情報

株式会社Herazika

株式会社Herazika

【事業内容】
オンライン自習室サービス「Herazika」「ヤルッキャ」の開発運営

【企業サイト】
https://herazika.com/

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